先週3日間にわたって職の技術を競う選手権がスウェーデン第3の都市マルメのメッセ会場で開催された。この職人スキル選手権は、後日に続くヨーロッパ選手権、インターナショナル選手権への第一関門となる国内選手権だった。職人といっても大人が対象ではない。職業訓練学校に在校中または最近卒業した若者が対象で、今年は200人あまりの男女若者たちがコンテストにチャレンジした。職人というと大工、電気工事士、料理人などを思い浮かべるが、フロリスト、ホテルレセプショニスト、林業用機械オペレーター、ITネットワーク配線工など多種多様にわたる40余りの技能職に分かれており、冷暖房器具取り扱い工という北国ならではのカテゴリーもあったりして面白い。それぞれのカテゴリーで金銀銅の賞があり、非常にプラクテイカルな面として受賞者(グループ)は名前だけでなく電話番号や活動地域がネット上で公表され、上手くすれば仕事のオファーや就職につながる宣伝効果もなしている。
このイベントは世界大会へ向けての選手権だけでなく、特に若い世代に手に職を持つことへ関心を促すこと、幅広い様々な職業があることを紹介することも大きな目的で、多くの職業専門学校や企業が会場にブースを設け、デモや企画などをアピールする見本市も兼ねていた。
この一連のイベントは産業省や教育省など国の行政機関や産業組合、年金機構などがイニシアチブを取っており、企業がスポンサーとして支えている。そしてつい先月70歳の誕生日を迎えられたカール・グスタブ16世国王までが競技応援のために登場する場面があり、いかに国を挙げて若者の職業養成をサポートしようとしているかがうかがえる。北欧は人件費が高く、職人さんの収入も地位もとても低いとは思えないのだが、それでも訓練が必要とされるブルーカラー職業への関心は薄れて行っているのかもしれない。
人気ラジオDJがワークショップの司会をし、イベントの様子はSNSで常時発信され、今年の入場者はこれまで最高の2万2千人となり大成功を収めた。入場者の中にはクラスで来ている小中学生も多く、デモを試したり即席でセットアップされた仕事現場を観察していた。学校教育委員会は小学校3年生以上、授業の一環としてこのイベントに参加することのメリットを記したガイドを出しており、仕事に関心を持つきっかけとなることを期待している。