一般に男性の子育て参加が進んでいると言われているスエーデンに、子育てをする男性(対象は90年代世代と言われる20代後半から40代前半、6歳以下の子供を持つ男性)向けの “Pappa Magazine” (パパ・マガジン)という雑誌がある。
「パパ」とタイトルにあるものの、有名人を全面に用いた表紙は男性ファッション雑誌、GQ を彷彿させる。
内容はというと、はじめて父親になる心得、妊娠中の妻への対処法やダイエット、子育てグッズの紹介、表紙登場人物の子育てに関するインタビューなど「父親」の面にフォーカスを当てた記事、そして身だしなみ、車、ファッションなどの「メンズライフスタイル」にフォーカスを当てた記事が混在する。最新号で興味深かったのは8歳と6歳の子供を持つ男性が3年前の自身の離婚体験を語り、読者にアドバイスをしている記事。離婚への道のりや、別居後前妻から幼い子供の誕生日を祝うことすら拒否されたこと、金銭的な問題などを率直に語っており、体験者は本名写真入りで登場している。
男性向け一般雑誌は多種あっても「父親」に絞った雑誌」はまだニッチのエリアで、良くも悪くもこの雑誌は非難されることが多い。子供より男性にフォーカスがあたっている、細々とした日々の育児に関する記事が少ない、車や高級時計の一面広告が多い、雑誌に登場している男性は有名スポーツ選手や俳優でその割合が多い、そもそも表紙に子供の写真がないこと(これは最近改善された)等、批判は主に女性からでその意見は厳しい。子育てに重きを置くのか、それとも子育て世代のメンズ・ライフスタイルに重きを置くのか。迷うことなくこの雑誌は後者であるというわけだ。
先の離婚体験者もそうだが雑誌に登場する人物は皆、モデルのようなカッコイイ写真とプロフィール入りである。まさに、自分をさらけ出すことを躊躇しない SNS 世代向けの雑誌といえる。
ファッショナブルなライフスタイルの一部分として子供を扱っているとも思える方向性が母親達の批判を買っているのは明白であるが、表に出して自慢できるカッコイイ夫を持ちたいのも本音であろう。2011年の発刊以来多くの批判は受けているものの、この雑誌はそれでも続いている
パパとなった自分がカッコよく乳母車を押している姿をイメージすることから子育て準備をするのもいいのではないか。育児参加への入り口はどうであれ、父親の子供と触れ合う時間が増えることに繋がれば良い。