両親学級で子供とメディア(IT)の関係を見直す

Illustration: Lotta Sjöberg, Statens medieråd 2016

Illustration: Lotta Sjöberg, Statens medieråd 2016

携帯やタブレットは、もはや日常生活になくてはならないモノになっている。一日に何度、何時間、携帯を手にしていることか。ふと気が付くと他のことはそっちのけでスマホの画面に釘付けということは誰にでもあるだろう。メディア中毒になりかねない大人がいるように、子供達にとっても同様にその可能性は大きい。
スウェーデンにはメディア委員会という組織がある。何をしている組織かというと、子供・青少年とメディアの関わり合いを研究し、その知識や情報を学校や図書館などに向けて発信し、社会に対して啓蒙活動を行っている国の機関である。日本では映倫(映画倫理委員会)が映画を対象に検閲をし年齢制限を指定しているが、そういうこともこのメディア委員会は行っている。そのメディア委員会が今回あらたに、子供病院/子供センターの両親学級(父親・母親学級)のクラス向け教材として、メデイアと幼児との関わり合いを描いたわかりやすい資料を作成した。

この教材は13枚のカード。カードには日常のシチュエーションを描いたイラストのみで、文章は書かれていない。お母さんが乳母車を押しながらスマホをいじっていたり、子供がタブレットで自分のビデオを見ていたり、お母さんが子供の写真を撮ってSNSにアップロードしていたりと、どこにでもある風景である。メディア委員会の目的はこれらのカードを親達に見せることにより、子供や自分達が普段どのようにメディアに接しているかを改めて考え直し、グループでディスカッションをしてもらうこととしている。我々の日常のメディア生活に対する喚起を促すという訳である。
両親学級では看護婦がイラストを見せながら、「こんな風景はよく見かけますか。」とか「あなたの家ではどんな風にテレビを見せてるの?」といった問いかけをしながら親達のディスカッションを進めていく。イラストに描かれている状況の良い点と悪い点を親達自身が述べあい、看護婦が親達にどうこうしろということは言わないことになっている。あくまでも自分で判断して必要であれば我が態度を改めたり、子供への指導をしたりしてくださいね、ということである。子供達がテレビを見る時間は何時間までといったルールはそれぞれの親が考えることであって行政が押し付けるものではない、だけど無意識ではダメですよというスタンスである。

Illustration: Lotta Sjöberg, Statens medieråd 2016

Illustration: Lotta Sjöberg, Statens medieråd 2016

Illustration: Lotta Sjöberg, Statens medieråd 2016

Illustration: Lotta Sjöberg, Statens medieråd 2016

 

 

 

 

 

 

 

スウェーデンでは3歳からインターネットに接し始め、5歳児の半数近くが一週間に複数回インターネットを使用しているというデータが出ている。メディアが子供の精神面へ及ぼす悪影響は、どこの国でも言われていることだ。これらのイラストは両親学級だけでなく公的な場所にもポスター掲載し、人々の関心を促す予定である。イラストは絵本作家の Lotta Sjöberg さんによるもの。

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