生徒や職員に朝食を提供する公立の小中学校が出てきた。
きっかけは子供達に取った食事に関するアンケートである。給食改善を目的としたアンケートだったのだが、結果として目を引いたのは非常に多くの生徒が朝食抜きで登校することであった。そして朝食抜きで登校する子供達に限って果物を食べる頻度が非常に低いという関連性もわかった。
この自治体では県内公立校を比較する学力テストの結果が年々劣化しており、なんとか生徒たちの学力を上げなければならないと頭を悩ませていた背景がある。寝ぼけ顔の疲れた様子で登校する子供達の学力低下の一因は朝食抜きにあるのではないか。朝起きてすぐには体が食を受け付けられない子供達が多いこともわかった。だったら登校で少し体を動かしてから朝ごはんを食べさせてみてはどうかというわけである。
学力向上を目指す1プロジェクトとして自治体の全公立校で朝食サービスが始まった。
朝食サービスの利用は任意で、ホテルの朝食バイキングのごとく自分勝手に好きなものが取れる。もちろん無料である。コストは一人当たり何十円か程度で自治体にとっても大きな負担にならない。サービスの開始時間は学校によってマチマチで、始業時間開始前からオープンする学校もあれば、学年別に分けて一限目が終わった後に食べさせる所もある。実のところスウェーデンでは学校の朝食サービスは数年前からいくつかの地域の小学校で試験的に実施されている。初めは物珍しさもあって利用する子供達が多かったが次第に利用者数が減り、サービス停止になったところや、まだ実施されているところもある。
サービスを開始したこの自治体によると、朝からお腹を空かせてぼんやり授業を受けていた以前に比べて、授業に集中しやすくなったと生徒たちにも好評だと各校から報告されているそうである。地域別に比較した学力テストの結果は毎年新聞などで公表されるのでどんな結果がでるか楽しみである。