恒例、スウェーデンの春の展覧会

リリエヴァルチェス美術館では毎年2月から4月にかけて期間限定の展覧会が開催される。その名もそのまま「春の展覧会」である。ストックホルムに住む大抵の人が知っており、実際、多くの人がこの展覧会を春の訪れとともに楽しみにしている。1921年より毎年開催されている歴史ある催し物でもある。

展覧会の出展応募資格は18歳以上でプロ、アマ関係なし。絵画、デッサン、彫刻、クラフト、ビデオ作品など、アートの範疇であればOKである。今年は2300名の応募者があり、選考に残ったのが114名、展示作品は214点である。審査員は毎年入れ替わり立ち代わり、様々な立場の人たちがその任務につくので年ごとに嗜好が変わることがある。例えば今年の展示作品は例年に比べクラフト(手工芸)テイストのものが多く目についた。四季を織物で表現したもの、人体のフィギュアをニットで編み包んだもの、ペーパーモビール等々、様々な素材のオブジェクトが会場にあふれていた。

ニットで石を包んだHannah Streefkerk さんの作品。

ニットで石を包んだHannah Streefkerk さんの作品。

Dan Wedegren さんの油絵。

Dan Wedegren さんの油絵。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして何と言っても皆が一番楽しみにしているのは高校生限定の展示エリアだ。未来の芸術家の卵というべき若者たちの作品である。応募資格は16歳から17歳。もちろんグループで参加もできる。今年、選考に残った作品の一例を下に紹介する。技術面ではまだ未熟であっても、その発想の豊かさに驚かされる。

フェルメールの作品もこの通り。Yuqing Tang さんの作品

フェルメールの作品もこの通り。Yuqing Tang さんの作品

Hannah Parman さんのドキッとする体の変化を表現した作品。

Hannah Parman さんのドキッとする体の変化を表現した作品。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が訪れたのは平日。だからだろうか、会場にあふれる入場者の多くがシニアだった。入場料がたったの500円程度で様々な作品を見て半日は過ごせるからか展示エリアもカフェエリアもシニアグループで大にぎわいだった。
展示作品は販売も可能で、その価格は出展者が決める仕組みになっている。

プロとアマが同じ土俵で一般市民の評価を受ける場であるが、大げさな賞付けもなければ、個人ギャラリーのようなスノッブさもない。作品の前でああでもない、こうでもないと入場者達は勝手気ままに楽しく感想を語り合うのである。
地下鉄駅や病院など身近な場所に多くのアートが存在するスウェーデンである。公共アートが市民に受け入れられ、海外からはデザイン王国とまで評価されているのは、この展覧会のようにザックバランに誰もがアートに親しむチャンスが与えられていることもその一因かもしれない。

トピックス - チーム一碧 (Team Ippeki) © 2013-2023
ホームページに掲載している、写真・記事の転載・引用・無断使用は禁止します。
Trademark notice: Product or corporate names may be trademarks or registered trademarks, and are used only for identification and explanation without intent to infringe.
Frontier Theme