年老いた友人ジェイが高齢者施設に入居するまでの経緯(3)

IKEA に行く

ジェイの足腰の痛みは幸いにも季節が良くなってくると和らぎ、5月終わり頃からこの歩行器を使うことはほとんどなくなった。歩く速度はゆっくりではあるが一人で歩行することは問題なくなった。温かい季節、太陽のまぶしい季節というのはどれだけ有難いことか。
6月以降には、一緒にストックホルムの博物館に行ったりJの大好きなIKEAに行ったりできるようになった。 日本のIKEAの店内の構造は知らないが、本国の店内はとにかく歩かせることで有名な構造になっている。どういうことかと言うと、入口から出口まで店内をひと通り見て回らないことには出られない仕組みになっているのだ。「よし、今日はIKEAの新しい商品を見て回るゾ」と気張ってショッピングを楽しむような状態であれば、隈なく売り場を見て歩けるので良いのだが、急いでいたり、ジェイのように歩けるけれど長時間歩きたくないような人と一緒の時は、この巨大な迷路のような店内は一苦労である。実はいくつかの売り場を回らず最短距離で抜けられる近道ドアがあるのだが、それを探すのがまた一苦労で、それをジェイと一緒に何度店員に聞いたことか。そんな時は若い女子スタッフと話したくて仕方がないJに聞いてもらうのだ。お年寄りから尋ねられるとスタッフも親切に教えてくれるので楽しかった。

それでも体の衰弱は明らかで、会いに行くたびに老いを重ねているのが傍目にもわかるようになった。週に一度はコミューンから派遣されたヘルパーが訪ねてくれるようになった。これは医師の判断が必要なので通院先のドクターからコミューンへ要請してもらったそうである。

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