歩行器
通院、とは言ってもJは最低限必要な時にしか行かないから1ヶ月に1、2回くらいだっただろうか、
歩行が少し困難になってきたと訴えた初期の段階で、すぐに歩行器がコミューンから届けられた。歩行器は4脚の小さな車輪がついた形のもので、ハンドルの前には荷物を入れることができるカゴがついているタイプのものである。道が雪や氷で覆われる前に送られてきたので、道が散々な状態になる前に歩行器の扱いになれることができたのは良かった。
雪が降り、地面が凍りだすとスエーデンでは滑り止めとして砂利が道に撒かれる。砂利は完全に雪が溶け、これ以降、凍てつくことはないだろうと皆が納得する4月の半ばか終わり頃まで砂利が一掃されることはない。 砂利のないアスファルトの道でも足腰の弱った人間にとっては歩行器を押すのはしんどいことである。しばらく押して歩いては休み、押して歩いては休みを繰り返しながら普通の足で歩けば10分もかからない近くのスーパーに最小限の買い物をしに行く。安定性のあるこの4脚歩行器はかなりの置き場所を取る。この歩行器が来て以来、ジェイのアパートのドアを開けるとすぐ目の前にドンとこの大きな歩行器が置かれているので、我々が部屋の中へ入るにはまずこの歩行器を脇に寄せて、体を斜めにして出入りしたものだ。4脚のそれぞれの距離が十分取られているから置き場所は取るが、それゆえに安定性がある。体の重心を支えるだけのことはある。
これが ジェイ の歩行器