年老いた友人ジェイが高齢者施設に入居するまでの経緯(10)

認知症患者エリアに移転

結局トータル39日間、ジェイはこのショートステイエリアに滞在した。
入居からちょうど1か月目に最終ステイ先、先のミーティングの様子をもとに、ジェイは認知症障害者のエリアに移すことになったと自治体から連絡をもらった。その結果に我々の心境は正直なところ、複雑であった。確かにジェイの記憶力は衰えているのは誰の目にも明らかである。例えば「昨日の夕食は何だったの?」と聞いても大抵が「覚えていない。」という答え。しかし他は以前と変わりない様子である。窓から見える住宅を指さして、「あそこの家族はようやく旅行から戻ったようだ。しばらく誰も出入りしていなかったのに、今日はベランダに風通しのためか毛布が干された。」とか、「下界はどんな感じなんだ?何か新しいニュースでもあったか?」とか、「ここはリサイクルの手を抜いている。紙とプラスチックを一緒に捨てている。」とか。だからジェイが認知症のエリアに入れられると聞いてなんとも割り切れない気がしたのである。しかしヘルパーさんはその判断を聞いて、即納得された様子であった。「食事を冷蔵庫に入れておいても食べることを忘れていたことが何度もあったから。」
新たな転居先は隣棟で、部屋の様子はこれまでのショートステイの部屋とほぼ同じ大きさの22㎡。基本的な作りは同じである。今度は窓からの眺めは、正面は森に隣接した散歩道、左手に森、右手少し離れた所に一軒家がぽつぽつと見える。
今度の部屋はホテルではなくアパートに入居するようなものであるから、住み心地良いように最低限のインテリアは備える必要がある。さっそく我々はジェイのアパートからデスク、チェア、カーテン、掛け時計、衣類等々、順々に運び込んでいった。

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