年老いた友人ジェイが高齢者施設に入居するまでの経緯(6)

個人の意思尊重

それからはいつジェイが泊まりに来てもいいように、ベッドはそのままにしておくことに決めた。本人が来たい時に来て、帰りたいときに帰ってくれるようにしておけばいいと思った。誰も強制することはできない。そのことをヘルパーに相談すると、「本人の意思で一人で外出したいのであれば我々も止めることはできない。外出は大いに良いことだ。迷子になったり何かあれば警察が見つけてくれるから。」と言われ、その一言に我々も納得した。精神面で異常をきたしているのは幻聴だけである。その他は普段と変わりがない。あくまでも本人の意思を尊重するというこの国らしい考え方である。

それを裏付けるようにその翌日、ヘルパーからジェイが我が家に来ていないかと尋ねる電話があった。食事の配達時も見回りの時間もジェイの家に行ったがいないというのである。その日はずっと前から予約していた病院へ行く日でもあったのだが病院へも行っていないそうである。おとといの事があったからだろう、ヘルパーは「警察に連絡するから、もしそっちにジェイが来たら連絡してくれ」と言う。
その夜、ジェイ宅に電話をすると本人が明るい声で電話に出た。夫が「行方不明でポリスに捜索願いが出たみたいだよ、どこかへ行ってた?」とジョーク混じりで尋ねると「図書館へ行ってたんだ。」という。そうか図書館なら夜8時までオープンしているから見つからないはずだと思うと同時に、彼が普段の生活をしているので安心した。病院へ行かなかったのはこれまでの足の痛みが和らいだという証拠かもしれない。しかし幻聴による睡眠不足は続いている様子で、夜間見回りスタッフが来るときは起きている状態だという。

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