ヘルシーな食生活への関心がますます高まるスエーデン。統計によればスエーデン人の3分の1が野菜の消費量をここ一年で増やしたと答え、40% の人が野菜がこんなに美味しいものだとは知らなかったと答えている。50 年ほど前までは野菜と言えばジャガイモ、ニンジン、ターニップなどの自国で取れる根菜野菜が中心で、食材バリエーションの乏しい国だったという。それが今ではヨーロッパ諸国、アフリカ、アジア、南米などあらゆる地域からの食材がマーケットに並ぶようになり、料理への関心も非常に高い。しかしベースは肉食中心の酪農国家であり、伝統的な嗜好そのものは簡単に変わるものではない。
しかしここにきて、ヘルシーな体を保つこと(食の面では野菜や果物の摂取を増やすこと)への関心に加え、地球環境に優しい生活をいかに送ることができるかということが大きなトレンドとなっている。環境保護に貢献するため、肉食を減らし野菜を多く取るようにしていると 20 % の人が答えているほどである。まさに北欧らしい意見である。
そんな中、ヘルシーフードとは逆のイメージのある大手洋菓子メーカーFazer (ファッツェル)が野菜を中心とした料理本を発行した。タイトルは「野菜大好き」(Gilla grönt) 。
ファッツェルと言えばヘルシンキ(フィンランド)にあるクラッシックなカフェが有名で、ファッツェル社の各種チョコレートやココアなどを置いていない店は北欧では皆無であるほどスイーツで名高い食品メーカーである。しかし実際にはパンの製造販売やレストランの経営なども手掛けている。ファッツェルという知名度があるためレストランと言うと値段が高めのスノッブなものをイメージしがちだが、病院や高齢者施設などのカフェテリア的なものまたはケータリング的な形態がほとんどで、表にファッツェルの名前を出していないためレストラン経営の部分は一般的にはあまり知られていない。この料理本はこのレストラン経営から端を発したもので、実際にレストランで出されている野菜を中心としたヘルシーメニューのレシピがまとめられている。ファッツェルのレストランで食事ができなくても家庭で同じものを作って食べることができるという訳である。レストランではまずアペタイザーは野菜を中心としたもので空腹感を和らげるように工夫したり、野菜をいかに美味しく見せるようにしているかなど、社で蓄積したメニュー作りのノウハウを紹介する。読者に野菜料理に対する新たなインスピレーションを与え、そして「ファッツエル=スイーツ」のイメージを変えることも意図としている。
(関連サイト http://www.fazer.se)